ミラクル・ツネの世界

『再 会』

 

 それから3年、デンマーク・レゴ社が日本進出を決め、我が社よりレゴ部門を買い取ったのである。そして、日本レゴ社を設立し、ミスター・カークが社長としてデンマークのレゴ本社よりやって来た。私は日本レゴ社の営業課長となった。

そして、日本レゴは順調なスタートを切った。

 2年が過ぎた時、カーク社長が私に言った。

「レゴ社は、マーケティング・カンパニーである。しかし、我が社には、マーケティング部門がない。君にマーケティング部を作ってもらいたい」

そして、私は日本レゴ社のマーケティング部長となった。

マーケティング部の大事な仕事の1つに広告宣伝がある。ある日、私は広告代理店から広告宣伝計画のプレゼンを受けていた。その席で、代理店のプランナーが私に尋ねてきた。

「部長、重盛さんご存じですか?」

「知ってるよ。えっ、彼今なにやってるの?」

「重盛さん、今、部長と同じお仕事なさってますよ。カード会社で、マーケティングの責任者をしています」

私は驚きと同時に懐かしさが込み上げてきた。その日のうちに重盛に電話をし、飲みに行く約束をした。

それから重盛と、2、3度飲みに行った。しかし、2人とも仕事が忙しくいつしか会うことは無くなっていた。

 

《退 社》

 私が40歳になる時、それは突然やって来た。

カーク社長から

「述井さん、ちょっとお話しがあります」

そこで社長室に行くと

「今度、私はデンマークの本社に戻る事になりました。そこで新しい社長が日本に来ます」

彼は、本社に戻りデンマークにあるレゴ本社のマーケティングの責任者になる。栄転である。

代わって、今迄本社でマーケティングの責任者をしていた者が、日本に来るという。明らかに降格?カーク社長は45歳、新しい社長は55歳。私は何か嫌な予感がした。

そして、その予感は現実となった。私はあらゆる事でその新しい社長と対立した。

レゴは好きだ。しかし、この社長にはついていけない。

私は日本レゴを辞める決心をした。決断をする前に私は何人かの人に相談した。

次の仕事が決まってない私に、皆が言った。

「もったいない。いい会社のしかもいい地位にいるのに…。いずれ、また社長は代わる。それまで我慢したら…」

しかし、今レゴブロックと私の立場は逆転している。昔は高くて売れないレゴブロックが私を必要としていた。しかし、今や世界一のトーイとなったレゴブロック、もう私である必要はない。大好きなレゴブロック、それだけにレゴブロックにしがみつこうとしている自分が惨めで許せなかったのである

40歳を迎える年、18年間育ててきた大好きなレゴブロックに別れを告げた。