述井庸治に

《国際会議二日目》


 今日は朝から、ワークショップ。
5~6人で、いろいろなテーマについて話し合う。
新製品について、プライスについて、キャンペーンについて、その他たくさんのテーマが用意されている。 

 それぞれのテーマにつき、ファシリテーター(司会者)から意見を求められる。
私は最後に意見を聞かれる席にいた。
私に意見を求められる時には、だいたい意見は出尽くしてしまう。
また、最初に意見を聞かれる席には、ドイツからの参加者がいた。
彼はいつもとてもいい発言をする。私の言いたいことを言ってくれる。
そこで私が司会者に意見を求められた時、こう答えていた。
「私の意見もドイツから来ている彼と同じです」
 また会議は全て英語、彼が英語で意見を述べてくれるので、その英語を使えばいい。
英語が決して上手くない私にとっては、とても都合が良かった。

 その日のスケジュールをすべて終了しホテルにもどると、私のボス、日本支社長のミスター・カークがやってきて私に言った。
「述井さん、一緒に夕食に行きましょうか?」
 そして私達は、ホテルのレストランにやって来た。
「述井さん、今日のワークショップはいかがでしたか?」
「よかったですよ」
 と、私は答えた。
 彼が私をこのカンファレンスへ参加させた1つの目的は私へのトレーニングがあった。
今彼の手元には、私が会議でどのような発言をしたかという全てのレポートが届いている。
私は、そんなことは夢にも思わない。
レポートを見ながら彼が言った。
「あなたはミーティングで、他の人と同じことしか言ってない。
あなたはあなた自身の考えを述べなくてはいけない」
 確かにその通り、なるほどと思った私は答えた。
「分かりました」