『カルチャーショック』


 《序 章》

 初めての海外出張、しかも国際会議への参加、行く先はデンマーク。

「人間皆同じ!」

 私は自分にそう言い聞かせ搭乗口から機内へ、そして日本の空港を飛び立った。

 しかし

「ちがう、しかも日本人だけが違う!」

 私が日本人であるがために体験したさまざまなカルチャーショック、それは私がデンマークのコペンハーゲン空港に到着した時に始まった。

 空港に降立った私は空港の中を見渡した。

 そこには、肌の黒い人、白い人、黄色い人、また赤い髪、茶色い髪、黒い髪、そして金髪など人種の異なるいろいろな人達がいた。

「私は今海外にいる。日本ではない、世界に出たのだ」

 その時、私はある出来事を思い出した。

 それは私が大学生の時の事である。

「俺の従姉がアメリカから日本にやって来た。これから会いに行くので一緒に来ないか。英会話の練習しようよ」

 私の友人が私に言ってきた。

 彼の従姉は、両親は日本人、しかしアメリカ生まれのアメリカ育ち。そして、日本に来るのは初めて、日本語はほとんど話せないという日系アメリカの大学生。

「ネーティブの英語が聞ける」

 私は胸ワクワクで、彼女に会いに行った。

 そこで私は、当時のつたない英語で彼女に質問した。

「What's the first impression of Japan?」(日本の第一印象は?)

 すると、彼女から予期せぬ答えが返ってきた。

「Disgusting!!」

 その言葉を初めて聞く私はその意味をまったく知らなかった。持って来た辞書を取り出し、彼女に綴りを確認しながら意味を調べた。

そしてその意味を知りビックリ。

「なに、キモチワルイ!」

 思わず私は彼女に聞いてしまった。

「Why?」 (なぜ?)

 すると、彼女は答えた。

「Only Japanese people」(日本人ばかり)

 それを聞いた私は更にビックリ。

「当たり前じゃん、あんたどこに来てると思ってんの、日本に来てるんだよ」

 もちろん、これは心の中で思っただけ、当時の私はそれを表現できるだけの英語力を持ち合わせていなかった。

 私は今、コペンハーゲン空港で彼女のことを思い出した。

「ああ、彼女は私と逆の体験をしたのだ」

 今、私はこの空港でたくさんの人種の違う人々を見て海外に来たと感じている。

彼女は数多くの人種がいる移民の国アメリカから日本にやって来た。

当時日本の空港は成田ではなく羽田空港、その空港の中にたくさんの日本人がいた。外国人の数は今よりはるかに少なかった。

また今の日本人は髪をいろいろな色に染めている、しかし当時はほとんどの人が同じ髪の色をしていた。

さらに日本人は、皆同じような服を着ていた。彼女には日本人はみな同じ人に見えたにちがいない。

 私が、日本に住むイギリス人の友にこの話をすると

「よく理解出来る。私も同じような思いをした。

何かクローンの世界に来たような感じ、アリがウジョウジョいるその中に飛び込んできたような感じなのだ」

と、彼は言った。

 今初めて、私は彼女の言った

「気持ち悪い。だって日本人ばかり」

と言った言葉が理解できた。